アプローチを含めて10坪の懐石料理店の内装設計です。調理の手さばきを見せながら客と会話が出来るカウンター席を中心とする一方で個室利用客の需要にも答えたいとのご要望から、客席はカウンター席8席と個室テーブル席4席のつくりとなりました。
10坪の店舗は狭い面積の部類に入りますが、懐石料理店にふさわしいゆとりある高級感を出さなければなりません。一方で店舗の開業資金を有効に使うためには工事費に使える予算が厳しくなるのは当然のことです。予算内で納得のいく空間とするためにご主人とお店のコンセプトなどゆるぎない方針を確認し、それに従ってデザインとコスト配分を考えて設計しました。
一人で厨房に立つため奥の個室まで全体を見通せるようなつくりにしながら、空間を間延びしないよう天井高さや仕上げに変化をもたせ、席に着くと視線が制限されるようにしています。和風の納まりを簡略化したり、材料は使い方を工夫したり既製品を使用したりするなどで予算を抑える工夫をする一方で、カウンターや照明器具、経師や金物など、要所にお金をかけました。